女性向け11文章ブログ。無印初期メン多め。
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謝る気があるのかと言われたらないと答えるだろう。
結局松野はあの大暴れの日から学校を三日休み、半田も一日だけ学校を休んだ。
あまりにも後味わるく出てきてしまったものだから影野にメールをした。そっけない文章には、そっけない内容で返ってきた。怪我はむしろ、松野にボコボコに蹴られた染岡や宍戸のほうがひどかったらしい。母親同伴で謝りに来た松野はそれでも、影野のした同情とも手加減ともとれるささいなプレイを、許しはしなかったという。
影野自身はどうしたのかと聞くと、特に変わりなく学校に行ったらしい。ああーと半田は思い至る。そういえば怪我の程度をたずねてくれるような友人は、影野にはいない。
半田もまた母親にひどく叱られて(監督から連絡が来たらしい)、松野の家に謝りに行った。母親同士はなんだかんだとしゃべっていたが、半田は最初にごめんと言って頭を下げたきり、ひとことも口をきかなかった。松野は冷却材をタオルにつつんだものを頬やら目やらに当てていた。それなのになきはらしたその顔が奇妙に大人びて見えて、不思議だった。
布団を頭からかぶって昼のバラエティ番組を見ていると、すさまじく現実味がなくなっておかしな感じがした。耳の中がやけにいたいような気がしたし、昨日いらいらのままにごみ箱につっ込んだユニフォームもスパイクも、そのままだったのに。
自分が本当に謝らなければならないのは松野なんかではないと半田は思う。自分のしたことの善悪くらいはわかるし、それを考えたら確実にあのとき自分が「悪」かったのだろうと思うけれど。でも。食欲がこれっぱかしもわかないので食事にも手をつけずにいると、携帯が三秒間鳴った。送信者の名前を見て、半田は開封もせずにそれを削除する。
認められないから子どもだなんて昨日父親から言われたけれど、そんなことしないと大人になれないならば、いつまでもがきのまんまでいいと半田は答えた。父親はわらって、でもなにも言わなかった。あのときは自分も悪かったろうけれど、あの程度のことで影野を殴る松野が、そのときは無性に腹立たしかった。
あのとき染岡がついたため息の理由がわからない。父親はなにも言わなかったけれど、晩ごはんのときに自分のおかずを次々に半田の皿にのせた。次々に。言葉に困ってしまうほど。
今日は部屋から一歩も出ていないし、カーテンも開けていないから天気がわからない。今ごろはみんな昼めしを食い終わっただろうか。何ごともなかったような顔で、昨日こんなことがあってさなんて、話しているのだろうか。
わかってくれると思っていたのに、それがないから怒るなんてばかばかしい。半田は頭から布団にもぐりこむ。どんどんどんどんばかみたいに涙がでで、しかもそれが止められないからどうしていいかわからない。松野みたいに怒って暴れればよかったのだろうか。そうしたらそれで伝わっただろうか。染岡はなんというだろうか。またため息をついて、かわいそうみたいな目で見るのだろうか。
ユニフォームとスパイクは母親が持っていってしまった。明日にはぱりっと乾いていることだろう。食事は手をつけられないままどんどん冷えていった。昨日父親がくれたおかずみたいに。テレビから聞こえるバラエティの声がうっとうしいし、カーテンを開けていないから天気もわからない。ひとりをひとりで噛みしめながら、それでもさびしいと半田はなく。
絶望はそらいろか
半田。思春期特有のいらいらが消えない。
結局松野はあの大暴れの日から学校を三日休み、半田も一日だけ学校を休んだ。
あまりにも後味わるく出てきてしまったものだから影野にメールをした。そっけない文章には、そっけない内容で返ってきた。怪我はむしろ、松野にボコボコに蹴られた染岡や宍戸のほうがひどかったらしい。母親同伴で謝りに来た松野はそれでも、影野のした同情とも手加減ともとれるささいなプレイを、許しはしなかったという。
影野自身はどうしたのかと聞くと、特に変わりなく学校に行ったらしい。ああーと半田は思い至る。そういえば怪我の程度をたずねてくれるような友人は、影野にはいない。
半田もまた母親にひどく叱られて(監督から連絡が来たらしい)、松野の家に謝りに行った。母親同士はなんだかんだとしゃべっていたが、半田は最初にごめんと言って頭を下げたきり、ひとことも口をきかなかった。松野は冷却材をタオルにつつんだものを頬やら目やらに当てていた。それなのになきはらしたその顔が奇妙に大人びて見えて、不思議だった。
布団を頭からかぶって昼のバラエティ番組を見ていると、すさまじく現実味がなくなっておかしな感じがした。耳の中がやけにいたいような気がしたし、昨日いらいらのままにごみ箱につっ込んだユニフォームもスパイクも、そのままだったのに。
自分が本当に謝らなければならないのは松野なんかではないと半田は思う。自分のしたことの善悪くらいはわかるし、それを考えたら確実にあのとき自分が「悪」かったのだろうと思うけれど。でも。食欲がこれっぱかしもわかないので食事にも手をつけずにいると、携帯が三秒間鳴った。送信者の名前を見て、半田は開封もせずにそれを削除する。
認められないから子どもだなんて昨日父親から言われたけれど、そんなことしないと大人になれないならば、いつまでもがきのまんまでいいと半田は答えた。父親はわらって、でもなにも言わなかった。あのときは自分も悪かったろうけれど、あの程度のことで影野を殴る松野が、そのときは無性に腹立たしかった。
あのとき染岡がついたため息の理由がわからない。父親はなにも言わなかったけれど、晩ごはんのときに自分のおかずを次々に半田の皿にのせた。次々に。言葉に困ってしまうほど。
今日は部屋から一歩も出ていないし、カーテンも開けていないから天気がわからない。今ごろはみんな昼めしを食い終わっただろうか。何ごともなかったような顔で、昨日こんなことがあってさなんて、話しているのだろうか。
わかってくれると思っていたのに、それがないから怒るなんてばかばかしい。半田は頭から布団にもぐりこむ。どんどんどんどんばかみたいに涙がでで、しかもそれが止められないからどうしていいかわからない。松野みたいに怒って暴れればよかったのだろうか。そうしたらそれで伝わっただろうか。染岡はなんというだろうか。またため息をついて、かわいそうみたいな目で見るのだろうか。
ユニフォームとスパイクは母親が持っていってしまった。明日にはぱりっと乾いていることだろう。食事は手をつけられないままどんどん冷えていった。昨日父親がくれたおかずみたいに。テレビから聞こえるバラエティの声がうっとうしいし、カーテンを開けていないから天気もわからない。ひとりをひとりで噛みしめながら、それでもさびしいと半田はなく。
絶望はそらいろか
半田。思春期特有のいらいらが消えない。
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