ヒヨル ぶらんこに乗る火薬の庭で 忍者ブログ
女性向け11文章ブログ。無印初期メン多め。 はじめての方は「はじめまして」に目を通してください。
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レインボゥスパイダーに100円ライターで火をつけながら、そんでどうすんのと土門は言う。する?しない?しない。影野はぼさっと突っ立ったまま言った。そっか。やっぱ嫌?嫌だよ。影野がにがす視線を土門は追いかけた。ややくせのあるレインボゥスパイダーが、呼吸をとおしてしみ渡る。影野のすぐそばには部屋の扉がある。そのしろいほそい指が、ドアノブにかかっているのを土門は見なかったことにした。
少林寺の髪の毛に触れたてのひらが奇妙にあつい。そろそろ帰ってくれないかなと影野はしずかに言った。うんわかったと土門は腰かけていたベッドから立ち上がる。マットレスがあまくきしんで、土門はまばたきをした。指をのばして、その前髪をすく。するすると指が流れていった。止まることはない。おれあゆむちゃんにまじで嫌われたと思う。なにしたの。なんか、いろいろ。ふうん。影野は興味がなさそうに視線をうつむけた。先がとがった耳のそこを指でつまんで、じゃあまたねと土門はわらった。ドアノブにおかれたままの影野のしろい手の上から、土門は自分の痩せたそれをおく。
今度こそひとりぼっちだと土門は帰りながら思った。わらおうとして、だけどわらえなかった。レインボゥスパイダーがまとわりついて、土門の気持ちはぶらんこのようにふれた。君といたい。君とはいられない。君といたい。君といてはならない。がさりと香の灰は燃え落ち、それすらも土門を突き放した。あゆむちゃんに会いたいと思った。嫌われてもなお、会いたかった。あの背中をもう一度抱けたなら。落ちた影はくろぐろと伸びた。あさくすくわれた夜だった。彼はそれをさせてくれないけれど、孤独を分けあうというならば、きっと自分は誰よりも上手にしてみせるのに。






ぶらんこに乗る火薬の庭で
土門と影野。
ちょっと色っぽい感じで。
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