ダララパレード

感謝企画。
びーこさんリクエスト、半田と一ノ瀬、木野夫婦。
リクエストありがとうございました。


続きに本文。

体育は毎回二クラス合同でやるので、広い体育館でも運動場でも結構めいっぱいになる。松野は体育だけすきなので、毎回これでもかとはしゃいでは体育教師に怒鳴られる。半田は松野とふたり組みつくってーとか言われて組むのだけはごめんなので（以前準備体操で肩関節をはずされそうになったので殴り合いのケンカになった）、毎回害のない普通の友人のところへ行く。そして松野が怒る。隣のクラスの円堂たちはサッカー部が何人か固まっていていいなぁと毎回思うのだが、円堂も松野と似たり寄ったりなのでふたり組みつくりたいとは絶対に思わない。準備体操にしろなにかの競技にしろ、一ノ瀬は毎回ふたり組みつくってーと言われるたびに、アキ一緒にやろう、と目をきらきらさせて木野のところにはしる。おーおー今日もあっついねあのふたりは。背中合わせに腕を組み合わせて相手に持ち上げられながら半田が言うと、教室でもだいたいあんな感じだよと円堂がほぼからだを折りたたむぐらいに前屈させながら言った。背中をこれでもかと反らされた豪炎寺がひくい悲鳴を上げている。これだから円堂と組むのもいやなのだ。ぶちきれたりしないだけ豪炎寺のほうがえらいとは思うけれど。
女子生徒はだいたい女子生徒同士で組んで準備体操をしているので、その中にひとりだけ混じっている一ノ瀬はやけに目立つ。中にはにやにやわらいながらそれを見ている生徒もいるが、一ノ瀬はそんな周囲の目もまったく気にせずに、木野の手を取って楽しそうにわらっている。授業中だというのに、まるでふたりで遊んでいるみたいだった。一ノ瀬はサッカーに関しては誰よりも鋭く研ぎ澄まされた苛烈なプレイをするが、木野がからむとまるきりひとが変わってしまう。学校でも部活でも、ずっとそのそばを離れない。いつでも一ノ瀬は木野のいちばん近くにいる。なんか妬けるねぇ。フュージョンみたいな格好で腕を引っぱりあいながら、半田は苦笑して言った。なにがだよ。おなじように円堂が豪炎寺の腕をぐいぐい引っぱりながら言った。豪炎寺の顔が引きつっている。あーありゃいたそうだなと半田は思ったが口には出さない。松野が向こうで相方にドロップキックをぶちかまして、さっそく教師に怒鳴られていた。なんかさーあんなに仲良くされたらさー、照れるっつうか。木野は別におれらのじゃねーだろ。だってよー二年もおんなじ部活でやってんのにさー。円堂が突然ぱっと豪炎寺の手を離したので、豪炎寺がはじかれて体育館に尻もちをついた。それでも文句を言わない豪炎寺はえらいなぁと半田は思った。別に見習いたいとかは思わないけれど。
木野はさー。円堂がぐりぐりと肩を回しながら言う。一ノ瀬のためにサッカーやってたんだから、当然だろ。そのまま円堂はジャンプして、両足を打ち付ける。半田はしたくちびるを突き出した。そんなものわかりのいいことを、しかもよりによって円堂に言われてしまったらなにも言えない。木野はやさしくてたくましくてしっかりした、働きもののマネージャーだ。だけど木野がどうしてサッカー部に入ったのか、半田は一度も聞いたことがなかった。えんどーくんはいいやつだねぇ。そう言って円堂を見ると円堂もなんか半田と似たような顔をしていたのでちょっとわらった。妬いてんじゃねーよ。うるせーなおまえだろ先に言ってきたの。あーあーそーだよ木野はかわいくてやさしいよ。ちょっとぐらいすきでもいいじゃないの。
松野がよくわからない奇声を上げながら、木野とストレッチをしていた一ノ瀬にあたまからつっこんでいった。木野がびっくりしたように離れて、一ノ瀬は床に突き倒されたけれどすぐに起き上がって松野と取っ組み合いをはじめた。わらいながら、器がでけーんだよなぁと半田は首を回した。見てんじゃねーよと松野が投げたシューズが豪炎寺の後頭部に直撃した。木野が楽しそうにわらっている。楽しそうにわらっている木野はかわいくてやさしくてちょっといいなって思ってたけど、一ノ瀬がすげーんだからまぁいいかなとちょっと思った。





ダララパレード
半田と一ノ瀬と木野。
遅くなりやんした。