ヒヨル ロカビリー・ヒットマンと彼の葛藤について 忍者ブログ
女性向け11文章ブログ。無印初期メン多め。 はじめての方は「はじめまして」に目を通してください。
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いやな予感しかしないとかいうときはたいがい当たるもので、しかもそれは抜群によくほとんどひゃくパーセントくらいに当たるもんで、半田は染岡のふくらはぎを外側から引っかけて無理やり足を止めた。なんだよと眉間にしわをよす染岡を置いて半田は道を内側に一本折れて猛ダッシュする。確認はしてないけどたぶん染岡もついてきてんだろと思いながら、商店街の裏通りをうねうねはしってごみ箱とか蹴倒してきたないのら猫を逃がしながら河川敷の土手へ抜けた。真夏日の太陽がつむじを斜めからじりじりと焼くのでなんだか焦げ臭い。階段をグミチョコパイーンと数段まとめて抜かして飛びおり、噴水と公衆トイレの横をどりゃーと駆け抜けてグラウンドに出たらいやな予感はどんぴしゃで、半田は斜めがけにしていたかばんをはずしてひもの部分を持ち、ハンマーよろしく振り回してそいつにぶち当てた。置き勉しまくっているから軽いもんだが、それでも肩甲骨と背骨の間のみぞにクリーンヒットして、そいつはようやく動くのをやめる。染岡が追いついてきたのはそのときで、手を抜いてはしってきたのか息も切らさない様子でなにやってんだよ、と不服げに(いつもそうだが)言った。松野は手に持った学校の椅子をがんっと地面に投げ捨てて一瞬半田をにらむが、半田がニチャっとわらったのでそれをすぐにやめてへんな顔でニタッとわらう。あんだよ。椅子は脚がほそいパイプみたいなのでできているまあまあありがちなやつで、まだ新しいやつだった。座面や背もたれがニスでてかてかしている。あれーいやな予感外れたかなぁと半田はちょっと考える。染岡はふたりを見て、松野が投げ捨てた椅子を見て、これどうした、と言った。おれのっ。持ってきたのか?おう。明日からどうすんだよ。明日また持っていくからいいだろ。あそうか、とか言ってなんとなく納得している染岡はあほだーアホアホだ、と半田はふししっとわらう。なにわらってんだよ。松野がむこうずねに足を伸ばしてきたので半田は一歩引いてまたわらった。松っちゃんその椅子なにに使うの。松野は目を見開いてなんだよその呼び方、とちょっとすごむ。おまえのクラスのやつがゆってたからおれもゆってみた。あほじゃねえのハンパ。はーんぱ。こいつうぜえなあと思って、さっきから置いてきぼりにしている染岡を見たら染岡は意味がわからん的な顔をしていた。なあその椅子なにに使うの。うるせえ黙れ早漏。あぁ?半田は喉の奥から濁った声をあげた。誰に聞いたんだよ。ミオギ。ああちくしょうミオギさんなにゆっちゃってんの。いやまじおれミオギとつきあいてえよ。勝手につきあえよクソビッチだぞ。染岡に紹介してやれよ。いきなりはなしを振られて染岡はえっとびっくりしたみたいな顔をして、あーわりい聞いてなかった、と言った。染岡おんなのことつきあいてえ?松野がいつの間にか転がしてあった椅子に背もたれを抱えて馬乗りになっている。松野は口が横にひろいので、ニタッとわらうとそれはそれはげすい顔になるのだが、そのげすい顔でわらわれても染岡は平然としていてあーやっぱこいつばかじゃね、と半田は思う。うえっとへんな声を出していきなり顔をあかくしてなに言ってんだおまえらとかごしゃごしゃ言ってる染岡からは、おんなのことつきあいてえ!というオーラがもんもん出ていてちょっとうけた。だよなぁ目金にも彼女ができる時代だしなぁ。げーあれつきあってるのとちがくね?わからんけど目金リア充って言ってたぞ自分で。きんもーっおたくきんもーっ。松野が椅子から転げ落ちる。しーねっしーねっと足をばたばたさせているのが瀕死の魚みたいだ。松っちゃんさぁ彼女つくらねえの。彼女はいらん。セフレがほしいわけおれは。染岡は彼女つくらねえの。なにげなく問いかけたら肩パンされたので半田は染岡を蹴り返す。はんぱは今の彼女といつまでつきあうの。ミオギさん美人だけどクソビッチだからそろそろ新しい彼女ほしい的な。おれ的には。ふうんと松野は瀕死の魚をやめて砂だらけの学ランで立ち上がるとまっ人生いろいろじゃんねぇと言った。よいせっと椅子を持ち上げる。松っちゃんいくの。いくよ。だったら止めなきゃなんだけど。無理だよーおれもう七人だし。あと三人だし。諦めたら七人でおわるんじゃね?やーもうおれのね、たぎるソウルは止まらないの。ノンストップなのよ。わかる?わかるか。いやわからんでもいいけど。松野はげすくわらう。まぁそういう人生もありってことなんじゃね?半田は椅子をつかもうとするがその前にひょいと松野は逃げてしまった。じゃーな!松野は椅子を引きずって土手をのぼっていく。がらんがたんがらんがたん、と音がどんどん遠ざかってやがて松野がむこうの方に見えなくなってからけーるかと半田は言った。おまえなにしにきたんだよと染岡はあきれたように言う。松野の椅子の脚はすらりと伸びてきれいなままだった。すべてが起こるとしたらこれからで、これから起きることを考えたとたんに脳が煮やされる。夕陽が目の奥でスーパーノヴァ。まっちゃん。半田は顔中の穴という穴から体液を吹いてあお向けに倒れた。染岡は松野がいってしまった方を黙って見ている。やがて染岡もいってしまう。止めにいってしまう。松野は決して止まらない。望まれないこどもたち。半田はニチャっとわらった。ミオギさんに会いたいと思った。あつがなちいわ。やってらんねえよ。








ロカビリー・ヒットマンと彼の葛藤について
半田と松野と染岡。
まっちゃん呼びをさせたかっただけ。
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