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女性向け11文章ブログ。無印初期メン多め。 はじめての方は「はじめまして」に目を通してください。
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みんな大好きイナズマイレブン。

円堂→王子
風丸→ジュン
壁山→ニック
影野→ウスヒコ
栗松→ミソ
半田→ミッキー
少林寺→エース
宍戸→コロンボ
松野→ディップ
豪炎寺→キャンキャン
染岡→ガッツ
目金→フーミン
土門→ビヨンド
木野→ラ・マーン
音無→ハニー
夏未→イチゴチャン

いちばんすきなのはオペオです。包帯だらけかわいい。
これのために箱買おうか迷ってるくらいすきなゲームです。でも至高は初代。最高に楽しい。

つづきに拍手返信。遅くなりましてすみません。
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半田の耳にはすごい数のピアスホールが開いている。そのわずかな肉の襞に、弾丸みたいなでかいピアスをぶちこんでいたり、これ以上穴が塞がらないように拡張用のまるい金属を突っ込んでいたり、安ピンを並べて魚の干物みたいにぶら下げていたり、している。服装も半端にまくったダメージジーンズやら、クロムハーツのまがい物に違いないウォレットチェーンやら、伸びきってかぎ裂きみたいな傷のついたTシャツやら、だらだらした汚ならしいそれらをTPO構わずどこにでも着てくる。半田は勉強がきらいで、授業にもあまり出ていない。ごてごての耳に指輪だらけの指でコードがよじれてひもみたいになったイヤホンをつっこみ、層になったシールとプリクラが色あせてはがれかけたiPodでガーゴイルとかセルティックフロストばかり聴いている。午後の屋上にはいつも半田がいる。カッターシャツの下にどこかのアーティストのコラボTシャツを着込み、背中にマンハッタンだのブロンクスだのを浮き上がらせながら、いつもいる。
ある日、部室の扉を開けようとしたら、中から栗松が飛び出してきて思いきり追突し、ふたりともひっくり返った。ああああ、染岡さん。栗松は泣きそうな顔をして染岡を引っぱり起こし、はやく半田先輩止めてください、と言った。があん、ばあん、と中から不穏な音が響く部室に駆け込むと、壁山に羽交い締めにされた半田が染岡を見て、おう染岡とへらっとわらった。その片手に作業用のはさみが握られている。部室の隅では宍戸が、抱き合う音無と木野をかばうように背中を丸めていて、入り口の近くでは風丸が呆然と立ち尽くしている。半田のすぐそばには影野がうずくまっていて、その周りにながい髪の毛がたくさん散らばっていた。ぎゃあぎゃあとわめく声が聞こえる。今にも半田に飛びかかろうとしている松野の腕を、少林寺と目金が必死につかんで押し止めていた。おい。染岡は低くつぶやいた。誰からも答えが返らない。どん、と後ろから背中を押されて、染岡は前につんのめった。円堂が両手を腰に当てて立っている。さあ、部活やるぞ。静まり返る部室を尻目に、おう、と半田だけが奇妙に快活に答えた。栗松が目をいよいよまるくして、円堂を唖然とした顔で見つめている。円堂はただわらって、もう一度、部活やるぞと繰り返した。
その日のできごとは今でもよくわからない。ただ次の日(確か木曜日だった)には、影野がすこしだけ髪を切ってきてあとはなにも変わらなかった。微妙な空気でのろのろと進むその日の部活の最中、休憩時間にふと染岡が部室をのぞくと、半田が散らばった影野の髪の毛を黙々とかき集めていた。指輪をつけすぎているために、それを外すと半田の指はでこぼこのまだら模様に見える。がりがりと爪をすり減らしながら、コンクリとそこに散らばる砂粒を撫でる半田に、染岡は同情を禁じ得なかった。ただただそのあわれな背中を、手の届かないほど遠くに眺めるしかなかった。他になにもできることはない。半田。染岡はみじかく問いかけた。その程度でなんかできるとか、思ったわけじゃないよな。半田は肩を揺らしてわらい、おい今日は三日月らしいぞ、と言った。最低だ。もう誰にも伝わらない。最低だ。うわごとのように繰り返されるその言葉を、どんな気持ちで聞いたのか染岡はやはり覚えていない。たぶん、興味がなかったのだと思う。
さらに次の日の金曜日、半田は左のほほをあかく腫らして屋上にいた。指にはいくつもメッキがはがれ始めている指輪をはめて、物憂い顔でiPodのホイールをぐるぐると回している。半田は孤独だ。味方も敵も必要としない。カッターシャツの背中には、飛びたいと願うばかりの骨がみにくく浮き上がっている。そこから透ける文字の意味なら、誰よりも誰よりも影野が知っている。影野が半田のほほに触れるのを、染岡はずっとずっと遠くから見ていた(ような気がする)。ぽっかりと開いた耳たぶの穴に、イザナギがコトドと巨岩を詰めた。馬鹿馬鹿しくてそのうつろさに、いやになるばかりの週末。金曜日は満月だった。三日月は雨に流された。スラッシュメタルが鼓膜を満たす。満月の金曜日には。金曜日には。
『数と言葉の暴力リミックス』






数と言葉の暴力リミックス
半田と染岡と影野。
昔、ある女生徒と交際をしていたことがある。すらりとせいの高い、脚のながい少女だった。いつもなにかを諦めている、こわいくらいに聡い少女だった。昔、伴侶がいた。数年前に結婚してそのすこしあとに離婚した。森鴎外とアイスキュロスがすきな、指のきれいなひとだった。いいひとだったのにねぇと母は懐かしむように言った。それが最期の言葉だった。雪の降るさむい夜に、まるで眠るように母は死んだ。
あなたはあのとき誰のことを言っていたのです。げっそりとほほをやつれさせ、目ばかりをぎょろぎょろと飛び出させた冬海は、全身を引きつらせながらのけ反ってわらう男に問いかけた。男は両手を振り上げて、なにかを抱き取るような仕草をしながら首を曲げた。その喉が痙攣している。へんに耳に残る、ねばついた嫌なわらいかただった。あああああああ。あなたは。あなたはあのときのひとですね。駅の前であのひととはなしていた。体育館裏であのひとを抱いていた。雨の中あのひとを傷つけていた。あああああああああああああああなたはああああああああのときのひとですね。ひとですね。耳を覆いたくなるような不快な声に鼓膜を焼かれ、冬海はしわが深く寄った眉間を指でおさえた。その指が得体のしれないあつさに細かく震えている。男は冬海を見ながら、血走った目をすうっとほそめた。あなた泣いていましたね。いませんでしたか。粘膜をびりびりと揺らす男の声に、にがいものが込み上げる。
あなたはなんですか。足を踏みしめると薄い船底がぎしりと鳴いた。誰ですか。私のことを知っているのですか。知っていますよ。男は首を百八十度ぐるりと回して冬海を見た。たとえばあなたが魚だったとき、わたしは子宮でした。あなたが背骨だったとき、わたしは青銅の鏡でした。あなたが氷河の一角だったときには、わたしはグリニッジの秒針でした。あなたが病んだ砂粒だったこともあるでしょう。そのときにわたしはビルの屋上にさびしく棄てられた空き缶でした。いかがですか。どうですか。あなたが生きていたときにはわたしは必ず生きていた。覚えていませんか。忘れてしまいましたか。冬海のこめかみが恐怖にさむくなる。ざわざわとひふの下を無数の虫が這うような、言葉にならない不快感が全身をざわりと包んだ。それは意思疏通が図れないがゆえの嫌悪感ではなく、もっと根源的な、ふるいふるい恐怖だった。
男は続ける。だからなんだと言いますか。わたしはこんなにあなたを見ていたのに。あなたを知っているのに。あなたをわかっているのに。男の言葉に、冬海はこめかみをおさえる。そこにぎりぎりと爪を立てる。ひふが破れて血が流れた。いたみは百万光年も向こうにあった。喉が砂漠のように干上がって、爆発する夜明けは血管を燃やした。深淵を覗けば、深淵もまたこちらを見ているのです。わたしはあなたの中に棲む。いつだってあなたの○○でいます。あなた愛していましたか。誰でもいい、わたし以外の誰かを愛したことがありますか。誰でもいい。誰でもいいのです。誰でもよかったのだから、誰だっていいのです。木野のうなじに歯を突き立てた、そのときには、もう終わっていたはずだった。永久に始まらないまま。ひとりぼっちのまま。わかっていた。知っていた。
ほほを血が伝い、船はゆらりとかしいだ。男は両手を広げ、背中から落ちて沈んだ。ぎしりと船が揺れる。ゆれる。へりに濡れたてのひらを押しつけ、冬海は水面をそっとのぞきこむ。そこには彼がいた。冬海を見ていた。彼は爬虫類の目をして、あの雨の日のようにゆっくりとわらった。にたり。にたり。
「わたしはあなたの中に棲む」
耳を聾する絶叫が、干上がった喉を引き裂いて溢れた。血が。血が。血が止まらない。男が手を伸ばす。体温のないぶよぶよの指先。その感触を知っていた。いつでも、彼を棲まわせていたのだから。泣いてなんかいなかった。ただ、わかっていた。知っていた。気づいていた。自分が孤独だということくらい。私はちゃんとわかっていただろう!愛してなんていなくても!男はしずかにわらって、水死人の腕で冬海を抱き寄せた。船から落ちてさかしまに沈む、そのずっと奥に火が燃えていた。愛してなんていなくても、わたしはあなたをひとりになんてしなかった。そうでしょう?
少女が学校を辞めたその夜、妻を抱いた。少女はいつもきらきらの爪をしていて、行為の前にはそれをひとつずつ丁寧に外した。加害者は孤独だという。孤独に耐えられなかったという。木野はくらい目をして冬海をわらった。ひどいひと。冬海はそれにはなにも答えなかった。木野は深海に咲き乱れる百合に似ていた。掃き溜めの鶴に似ていた。瓦礫に芽吹くみどりに似ていた。メロスのあかい心臓に似ていた。限りなくうつくしいものをからだの内に孕みながら、木野はそれを誰にも見せない。思えば木野を抱くときはあの頃ばかり思い出していた。どおりで孤独なわけだった。冬海はわらった。あいしていたとも。その声は火に飲まれて、やがて静寂にかすんで消えた。
翌日、冬海は学校を辞めた。サッカー部員も木野も、なにも言わなかった。冬海は最後に木野をそっと見たが、木野は地獄をたたえたくらい目で、ゆっくりと冬海から視線を反らした。これでいい。これで十分だ。なくしたことにすら気づかなかったのだ。せめてやわらかな彼女のひふを宝物にしよう。心臓で男がけたたましく吠えている。草合離宮転夕暉、孤雲飄泊復依何、山河風景元無異、城郭人民半已非。
木野の背中に浅ぐろくやせた指が触れる。さわらないで。気だるい調子で言った、そのからだが細ながい腕に包み込まれた。すきだよ、あき。わたしはきらい。木野はそう言いながら、その胸板にあたまをそっともたせかけた。いなくなって当然なのだ。あんなひと。あんなだめなひと。ひどいひと。わたし土門くんのこと世界で二番目にきらい。一番は。彼は問う。その言葉に木野は目を閉じた。きっと二度と埋まらないその場所を、惜しんだわけではなかったのだ。彼のてのひらがひふをすべっていく。別れを告げたのは乾いた街角だった。あのひとは亡霊のような顔で、それを黙って受け取って噛みしめて飲み込んでいた。愛していたなんて言わせない。梅雨はとっくに終わっていた。夏が枯らした花壇は死んだ。いつでもあなたの中に棲む。わたしはいつだってあなたの、






はいじんのひ
冬海とジキルと木野。
文天祥「金陵駅」より。
愛媛沈没。
木野とは三度セックスをした。本格的な梅雨に入ったために、校舎中がどっぷりとした倦怠に浸ってしまい、冬海の思考にはいつも雨のようにうすい膜がぴったりとはりついて邪魔をする。木野のうなじからはまだ未成熟な清潔な女のにおいがして、逆に冬海のくちびるからただようピースとコーヒーと消しがたい年齢を、いつも木野は眉をひそめてくさいと言った。お決まりのようにそのあとに、正義の笑顔を貼りつけて。花壇は重たすぎる曇天の放課後に、一度だけ手入れをした。隣で雑草をつむ木野は、不意にその華奢な肩を抱き寄せられても驚きもしなかった。ただ刺すような目で冬海を見て、言葉を待つばかりだった。きれいに耕して肥料をまいたあの花壇も、おそらくはこの数日の雨に腐り果てて流れ去っている。冬海のくろい傘の下で指を絡めるとき、雨に侵された脳裏には昔のことばかりが蘇ってそればかり辟易した。他に不足はない。
傘からわずかにはみ出た木野の肩が霧のような雨に打たれ、ブラウスを吸い付けて下着の線を浮かせている。傘を傾けようとした冬海の手を、木野がそっとおさえた。いいの、先生。通学路からも国道からも外れた、自転車ばかり通る裏道で、ふたりで並んで言葉少なに歩きながら冬海はすこしわらった。ごむのかっぱをぴっちり着こんだ自転車が、しゃあっと水溜まりをはね上げて追い抜いていく。ふと見下ろした木野のソックスの足首が、雨水と泥はねでぐずぐずに汚れていた。日々降り続く雨のために、屋外の部活はほぼ強制的に活動中止を余儀なくされている。グラウンドが使えないために生徒は鬱屈を抱えて校舎にたまり、それがますますべたつく梅雨の気だるさに拍車をかけている。ジャージ姿で校舎の階段を上から下まで何往復もしていた円堂を、木野は止めなかったらしい。だって無意味です。それがどのような意図で放たれた言葉なのか、冬海は図りかねて結局問うのをやめた。ストイシズムが嫉妬にも似ていることがばかばかしい。天性のまっすぐさを、毒に感じる人間だっているのだ。冬海のように、あるいは、木野のように。
木野の手がふと冬海の袖をつかむ。顔をあげると、数メートル先の電柱のわきに、こちらを向いてひとりの男が立っていた。雨足がだいぶ強くなっているにも関わらず、傘もささずにずぶ濡れのまま、たったひとりで立ち尽くしている。冬海はかばうように木野の肩を抱き寄せた。それと同時に、男がゆらゆらと歩き出す。傘にかくれて顔は見えないが、上半身をぐらぐらと揺さぶる独特の歩き方をしていた。冬海もゆっくりと足を進める。木野の体がこわばっていた。きれいなお嬢さんですね。すれ違いざまに突然傘を覗きこんできたその男に、木野は喉の奥でちいさく悲鳴を上げた。なんですか。手で立ちすくむ木野を後ろへやりながら、冬海は傘を持ち上げて男の顔をじっと見る。爬虫類じみた奇妙な目をしたその男は、ぼたぼたと身体中からぬるい雨水を垂らしながらと冬海にわらいかけた。けものが威嚇するように、にたりと。
わたしもこの子と寝てみたい。いくらですか。はぁ?あなたはいくらで彼女と寝たのです。私は。きれいなきれいなお嬢さん。木野に差し伸ばされた手を冬海は払った。驚くほどつめたいひふをしたその手で、男はゆっくりと顔を拭う。いつまでならいいのですか。きれいなお嬢さんあなた、いつまでこのひとと寝るのです。飽きるまでですか。そうなさい。木野は目をまるく見開いて、それでもじっと男をにらんでいる。汚濁を飲んだきれいなお嬢さん。男は再び指を伸ばし、今度は木野のしろいほほに触れた。そのとたん、弾かれたように男はのけ反り、奇妙に首を曲げた。振り落とされた雫が雨に消える。草合離宮転夕暉。孤雲飄泊復依何。あああああああ。あああああはははははは。悲鳴とも笑い声ともつかない音を立てながら、男はぐりんと首を動かして冬海を見た。あのひとはどうしました?あなたの愛したひとは。今はどこにいるんです。もう忘れましたか。忘れましたか。忘れましたかああああああああああああああはははははは。
男はそのまま、声を上げながら行ってしまった。ぐらぐらとからだを揺らし、あさっての方向をぎろぎろと眺めながら。心臓が速い。知らず知らず詰めていた息をそっと吐くと、後ろでちいさく息を吸う音がした。木野さん。冬海が振り向くと、木野は両手で顔をおおってうつむいていた。木野さん。ばさりと手の中から傘が転げ落ち、冬海はそっと両手で木野のぐしゃぐしゃに濡れた肩に触れた。やわらかな髪の毛を雨粒がいくつもすべり落ちていく。肩は震えていない。木野さん。再度呼び掛ける声を、先生、と木野が遮った。(汚濁を飲んだきれいなお嬢さん。)言わないで。木野はきっぱりと言った。涙にすら濡れていない声で。愛してるって言わないで。冬海は言葉を飲み込んだ。レンズを雨がいく筋も伝う。その日も結局セックスをした。木野の目が何度も冬海を刺した。汚濁を飲んだきれいな木野。それに気づかないふりをしながら、昔のことばかりが蘇って辟易した。鼓膜にこびりついた絶叫を鼓動で削ぎ落とし、這わせた指が脳からわなないた。聖杯はありとあらゆるもので満たされていた。他に不足はない。






マザーハーロットの聖杯
冬海と木野とジキル。
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無印雷門4番と一年生がすき。マイナー愛。

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