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女性向け11文章ブログ。無印初期メン多め。 はじめての方は「はじめまして」に目を通してください。
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冬のよく晴れた早朝の、すみれ色の雲が薄氷みたいにあおく澄んだ空を泳いでいる姿がすきだ。塔子は基本的に早寝早起きなたちなので、女子部屋ではいちばんに起きる。のどと粘膜の保護のために監督がくれたネックウォーマーを外し、蒲団からそうっとはい出して伸びをした。つつましやかな寝息が静かにたちのぼる、女子部屋の朝はあまやかで心地がいい。隣の蒲団ではリカがながい髪を乱し、枕に顔を埋めるように眠っている。マネージャー三人も、それぞれあどけなくくつろいだ顔で夢の中を漂っていて、それを確認して満足すると塔子はタオルをつかんで洗面所へ向かう。凛とはりつめた空気は痛いほど冷えていて、素足の指先がかちかちにこわばるが塔子はそういうのもあまり嫌いじゃない。顔を洗う冷水がひじまで滴るのも、寝間着のスウェットの首周りが濡れるのも。塔子は季節とともにからだをおとなう変化がすきだ。ばさばさの髪をちゃんと整えろとリカがうるさいので、最近はちゃんと身支度を整えてから活動している。
手早くジャージに着替え、しろい息を吐きながら外へ出るとそこにはもう少林寺が待っていた。おはよーお待たせー。おはようございます。折り目正しく礼をする少林寺は、この寒いのに平然とした顔をしている。この小柄な後輩とは早起き同士なんとなく顔を合わせているうちに会話をするようになり、まだみんなが寝ている時間に少林寺の指示で体操や瞑想や太極拳をするのが塔子の日課になっていた。少林寺は先輩相手にも容赦なく、塔子の姿勢のわるさやからだの固さをずはずば指摘するが、その分指示は的確で小気味よく、なんとも健康的でからだにもこころにもよく効く(ような気がしている)のだ。それなので塔子は早起きが全く苦にならない。朝からしゃきしゃきと元気な少林寺を見ていると、自分もつられて元気になるようだった。今日も手をつないでストレッチをしたり、深い呼吸でからだを動かしたり拳法の型をなぞったりする。すみれ色の雲がようやく力強く差しはじめた太陽ににじんでいた。冬のよく晴れた早朝は正しく清潔で、気持ちがいい。
その空気をくしゃくしゃとかき分ける引きずるような足音に思わずふたりが振り向くと、ブランケットをぐるぐるに巻きつけた寝ぼけまなこのリカが立っていた。あーリカ!珍しいじゃん、どしたの。リカは寒そうに肩をちぢめ、あんた出ていくときにウチの髪の毛踏んだやろ、と不服げに言った。そーだっけ。そーやで。目ぇ覚めてもーたやんと目をこすりながら、リカはけだるい調子で寄ってくる。おはようございます。おはよーしょうりん今日もかわいいな。ごしごしと少林寺のあたまをなでながら、リカはきょろきょろとふたりの顔を交互に見る。デート?そんなわけないだろ。後ろから少林寺に腕を回してブランケットでぶわっと包んでやりながら、塔子の言葉にリカはけらけらとわらう。まーあんたらの色気ないこと。修行してるぼんさんか思たわ。少林寺はリカの腕とブランケットの間からその顔を見上げ、ぼんさん?と首をかしげる。おぼーさん。なんか抹香くさい連中が京都にいてるやん。あんなん。言いながらリカはブランケットを揺らした。中でくすぐられたのか、きゃらきゃらと少林寺がわらう。一見限りなくかけ離れた相容れないふたりだが、実はリカと少林寺が仲がいいことを塔子はちゃんと知っていた。似ているところがないからこそ、一周まわって気が合う、みたいな。
あーもーしょうりんあったかーぎゅーしたろー、ぎゅー。そう言いながら少林寺を後ろからぐるぐるに抱きすくめるリカに、塔子はぱっと自分を指さした。リカ、あたしもあたしも!えーいややーしょうりんあったかいもん。あーっつうかあんた今日ウチのトニックウォーターつこたやろ!うん。だってリカいっつも髪直せって言うじゃん。あれ高いねんからジャバジャバ使われたらお財布が泣くわ。あれいい匂いだからすきなんだもん。リカは眉間にきゅっとしわを寄せ、もー、と言った。言葉につまったというよりも、はじめから全然怒ってないよ、みたいなその調子に塔子は嬉しくなる。あーさぶ。ウチもっかい寝るわ。しっかりおつとめしいや。そう言ってリカはぱっと少林寺を離し、塔子はえええーと声をあげた。一緒に太極拳やらないの?やらへん。もー寝てる時間なんかないよ。いやまだがんばったら三十分は寝れる。ねーねーリーカー。やかまし。睡眠不足はお肌の天敵やねん。塔子はブランケットをしっかりかき合わせるリカの両腕をつかんで揺さぶった。ふうわりとティーツリーのやわらかな匂いがする。
リカは塔子より背もたかくて、髪もきれいで、いい匂いがして、モデルみたいなすんなりした手足をしている。そして、そういうひとつひとつのことが塔子には嬉しくてたまらない。リーカー。甘えた調子でリカの肩に額をこすりつけると、その背中がぶわっとブランケットに包まれた。もー。リカからはいい匂いがする。リカはやさしい。リカはフィクサーズにいた誰よりもやさしい。わしゃわしゃっと塔子の髪を華奢な指でかき回し、トニックウォーター使うときはちゃんと言うんやでーとリカは言った。はい。いいおへんじ。塔子がはいと返事をすると、リカはいつもいいおへんじ、とほめてくれる。塔子はそれも嬉しい。嬉しくてたまらない。髪をかき回すリカの指が冬みたいにつめたいことだって、今日は自分の髪の毛からリカとおなじ匂いがすることだって。
あかんほんまさぶい。えーリカ行かないでよージャージ貸したげるからさー。いらんわとリカはぱたぱたと手を振る。自分の取ってくるから。ほんと?ほんと。戻ってくる?くるくる。ほななとリカは少林寺のほほをぷにっとつまんで、背中をちぢめてサムイサムイサムイサムイと繰り返しながら行ってしまった。少林寺がつままれた箇所をごしごしこすって、またくるって、と言う。よかったね先輩。うん。塔子は快活にわらい、リカがそうしていたように少林寺を後ろからぎゅーっと抱きすくめた。そのままくるくるとふたりでまわる。少林寺はあたたかで、伸びやかなひなたの匂いがした。あたしねえリカのことだいすきなんだ。少林寺がちょっと照れたように、塔子の手にそのちいさなてのひらを添わせる。ふたりの後ろでじゃりじゃりとかるい足音がした。ティーツリーのいい匂いが、ブランケットみたいにふうわりとふたりを包む。







きまぐれカポーテの夜明け
クリスマス企画。
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ジ・アースの演出見るとライフストリーム思い出す。
ギーーーーーヨギーヨギーヨギーヨギーヨギーヨギーヨギーーーーーヨ
ギィーーーーーーーヨギィーーーーーーーヨギィーーーーーーーヨギィーーーーーーーーーーーーーヨ

イーーーーヨイーヨイーヨイーヨイーヨイーヨイーーーーーーーーーーヨ
イーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーヨイーヨイーヨイーヨイーヨィーーーーーーーーーーー


「あちぃ」


イーーヨイーーヨイーーヨイーー、ッ、チチッ

「え?」

「今?」

「今じゃないとだめ?」


イィッ、イッ、チチッ
チチチッ

イーーーーヨイーヨイーヨイーヨイーーーーヨイーーーーヨ、イーヨイーヨイーーヨ
イーーーーーーーーーーーーーーーヨイーヨイーヨイーヨイーヨイーヨイィーーーーーーーーーーーーーーーン

「あ」

「いやいや、だから違うって」

「だか、」ちょ、
あの
あーーー待って待ってまって、まって

「、あ」


イーヨーツクツク、イーヨーツクツク、イーヨーツクツク、イーヨーツクツクイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ギィーーーーーーーヨギィヨギィヨギィヨギィヨギィヨギィヨギィーーーーーーーーーーーーーーヨギィヨギィヨギィヨギィヨギィーーーーーーーーーーーーーーヨギィヨギィヨギィヨギィヨギィヨギィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

イィーーーーーーーーンインインインインインインインイィーーーーーーーーンインインインインインインイィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





やー、あついからさ



イーヨーツクツクイーヨーツクツクイーヨーツクツクイーヨーツクツクイーヨーツクツクイーヨーツクツクイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「あたまいてーっつか」


イーヨ
イーーヨ
イーーーーヨ
イィーーーーーーーーヨ
イィー「だ」ーーーーーーーーーーギィヨギ「う、」ィヨギーーーーーーーーーーーーヨイーヨーイーヨーツクツクイーヨーツ「あっ」クツクイーーーーーーーーーーーーヨギィヨギィヨギィヨ「ちょ、あっ」ギィちょま、ヨーツク、やツクイーヨーツクツクィーーーーーーーーーーーーーーーーーーンあっ、や、インインインインインイィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

、あ。



チチッ、チチチッ、チチッ


「おま、




ばかじゃねえ?」




カッカッカッ、カナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナ、カナカナ、カ、ナ
カナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナ、カナカナカナ、カナカナ、カ、ナ



「あっちい」
「な」
「アイスたべる?」











「いらね」



カッカッカッカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナ、カナカナカナ、カナカナ、カナ








腸捻転ボイラーで執行・繰り返すイエローレヴェル、みーたーいーなー?
目指せゲシュタルト崩壊
があん、とどこかに落ちた雷がキャラバンの窓をびりびり揺らす。東京から一路福岡へ向かう、その途中で一同は豪雨に見舞われていた。ががっとしろい稲光が空を切り裂き、どんよりと垂れ込めた雲のかたちを一瞬くっきりと浮かび上がらせる。車内はひどく結露し、なにげなく四指で窓の表面をなでると、そこから水滴がだらだらっと涙のようにこぼれた。その落ちかたが生々しくて途端に、後悔する。濡れた指先をもてあまし、結局手の中に指を握りこむみたいにして乾かしてしまった。ワンセグもさっきから砂嵐だ。途切れ途切れにナルトが見えるが、静止画の半ばを砂嵐に食いつぶされる画の連続が、ぶつぶつこまぎれにされたセリフと一緒に届いてくるようなひどい映像だった。目がわるくなってしまう。キャラバンの中は静まり返り、ときどきさざ波のようなひくくほそめた会話が聞こえてくるくらいだ。早々に寝入っているものも少なくはない。しずかな呼吸が澱のように足元を渦巻く。
目金は結局それ以上先を見るのを諦め、なるべくしずかに携帯を閉じる。隣にちらりと目をやると、通路側のひじ掛けにけだるくほおづえを突いた栗松の、耳からのどにかけてのあおじろいひふが見えた。呼吸のたびにわずかに収縮し、その下をあおい血管がぞろぞろと這う栗松のひふ。そっとその肩をつかんで揺さぶると、栗松はあからさまにびくりとあたまを揺らし、それから驚いたように目金を見た。どうやらとろとろと眠りかけていたらしい。びっくりした、とだるそうにつぶやく、その声がかすかに嗄れていた。なんですか。ひまです。しらねーーーよーもーー。栗松は心底あきれ返った調子でうんざりと言い、じゃあもう寝ればいいでやんすよと続けた。どうせしばらく着かないでやんす。まだ眠くないんです、なぜなら昨日ちょっと寝すぎたからで。だからしらないって。栗松はうっとうしそうにごりごりとあたまを掻き、深い息をついた。
じゃあせっかくなんでひと勝負、と目金がDSを取り出すとええーーーと栗松は首をそらした。なにがじゃあせっかくなんでだよもーいやですよボッコにされるの。わかりましたわかりました、じゃあ伝説禁止!あと、ぼくはレベル50縛りでいいですから!うえーもー一回だけでやんすよ。そう言いながらしぶしぶDSを取り出す、そのしぐさがひどく緩慢でおもたい。後ろから穏やかな呼吸がみっつ聞こえてきて、それは壁山と壁山に絡んだまま寝てしまった円堂、それから最近どうも壁山がお気に入りらしい木暮のものだ。うんざりした顔の栗松の、その目の周りが妙にくろずんで落ちくぼんでいる。疲れてますね。DSの電源を入れた途端に、ばらばらばらばらっとすさまじい音を立てて雨がキャラバンの窓を打つ。うん、と栗松は首をひねった。そんなことじゃだめですよ。栗松はかくんと首を落とすようにうなづく。大丈夫ですか。そう言うとかすかにわらう栗松のくちびるが、しろく乾いてひび割れていた。結局その日も目金が勝った。
栗松は愛媛での対戦を終えたあたりから、こうやってひどく疲れた顔のまま、キャラバンの道中はとろとろと浅い眠りと覚醒を繰り返している。数時間に一度の休憩のときには、トイレでときどき吐き戻してもいるらしい。よれよれに憔悴した栗松の、その背中はひどく痛ましく見えて、奇妙な躁状態にあるような他のメンバーとすれ違う姿は幽霊さながらだった。以前、パーキングエリアで栗松がふらふらとあるいている前を、ふさふさのしっぽを揺らしたパピヨンが横切ったことがある。あっと声をあげ、目金は後ろから栗松の肩と二の腕をつかんだ。あぶない。栗松はからだをこわばらせ、ひっ、と短く呼吸をした。ふさふさのしっぽを揺らしたパピヨンと、その飼い主の恰幅のよい女性がごめんなさいねえ、などと言いながら通りすぎるのを、ふたりはものも言わずに見送る。栗松がなにを考えていたのかはわからないが、目金はそのとき、心の底から震撼していた。思わずつかんだ栗松の肩は指が骨のすき間に沈むほどごりごりに痩せていて、ジャージ越しの二の腕は目金のてのひらにすら余るほど、ほそかった。いつから。こめかみの辺りがどくどくとわめく。うまく言葉にならない動揺が、目金ののどを野火のように焼いた。
栗松はいつまでも手を離そうとしない目金をいぶかしんだのか、肩越しに振り向いて先輩、と呼んだ。不審な目と声の調子に、目金はあわわと弾かれたように両手を離す。突き放されたみたいな格好になった栗松はちょっとよろけ、軽く肩を揺すってから振り向いて、どうも、と言った。愛嬌のあるまるい目が、どっぷりと疲労に濁っている。ぼく。目金はせわしなくジャージをぱたぱたと叩いた。のどが渇きました。は。なのであなたにも一杯おごりましょう!うーんぼくってやさしいなぁ、と無理やり目金は栗松の手を取る。ちょ。戸惑う栗松よりももっと、目金は戸惑っていた。握った栗松のてのひらは、日照りの畑のようにがさがさに荒れて、乾いて、くたびれていた。どくどくとどくどくとこめかみで心臓がわめいている。どうして。どうしてどうしてどうして。
栗松。後ろの席から壁山の穏やかな声がした。まだ起きてる。うん。はやく寝るっす。しっかり寝ないと、もたないよ。うん、と栗松はうつむき、ぱたんとDSを閉じた。スニーカーを脱いで脚を上げ、シートの上で膝を抱える。そこに額を伏せて、それだけで栗松はもう周りを寄せつけない。まるで絶望の中でくるくると泳ぐ、ひとりぼっちのさびしい胎児みたいに。ひどく心細くなって、目金はふたたび栗松の肩をつかんで揺さぶった。栗松は声も上げない。反応もしない。膝を抱く枯れた指が、疲れはてた様子でわなないた。先輩。栗松が顔を伏せたままひくくささやく。目金は急いでそこに耳を寄せた。がさがさに荒れて、乾いて、くたびれた栗松。
「あんたの期待に応えるのは」
「もうやめます」
があんと視界がしろく焼けただれ、そして雨が通りすぎていく。あまりにも簡単で、せつない。神様。神様どうか。どうか彼を「   ないで」







よいこのてそう
あの辺の目金と栗松。

「ここはおれにまかせろー(ばくねつストーム)」
「やめて!」

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無印雷門4番と一年生がすき。マイナー愛。

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