ヒヨル 忍者ブログ
女性向け11文章ブログ。無印初期メン多め。 はじめての方は「はじめまして」に目を通してください。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

波の立たない穏やかな毎日、というのは一体どういう理屈から生まれてくるのだろう。そんなことを考えながら、宍戸は屋上の扉を肩で押して開ける。昼間のあおい日射しがどわぁぁぁぁぁっと一方的に視界を満たし、むしろそれをがぶがぶと喰い破るように宍戸のひょろい足がぱきぱきのコンクリを踏んだ。屋上のまん中に、少林寺が三角ずわりをしていて、そのちいさな横顔はちいさなてのひらで持った文庫本を熱心に眺めている。宍戸はあーゆむー、とながく声を引きながら少林寺に横からつっこんで、ラグビーの選手みたいにぐわっとそのからだを押し倒す。もちろんちゃんとあたまにてのひらを添えて。うわぁぁともがく少林寺のからだを両手でしっかり抱え、宍戸は仰向けにごろんと寝ころぶ。腹の上で少林寺がごそごそもがいている、その感触がえろーい、と思った。
なに読んでたの?宍戸は仰向けにちょっとあごをそらしたまま問いかける。借りたやつ。少林寺はごそごそをやめて、宍戸の腹の上で仰向けになったまま続きを目で追っているらしい。宍戸は両てのひらを少林寺の下腹に重ねる。誰から。栗松。さっき一瞬見えた表紙は、てかてかしたピンク色をしていた。胸の上に少林寺の髪の毛がぐるりとわだかまっていて、その有機的な重みがいいな、と宍戸は思う。どんなはなし。少林寺は髪の毛を後頭部でこすりつけるように首をかしげる仕草をした。恋愛?かな。よくわかんない。なんか難しいから。ふうんと宍戸は両手にちょっと力を入れる。のどやかな昼休みは春の海みたいだ。空が発光しながら、逆流して吸い込まれるほどあおい。恋愛してんの。宍戸の無意味な問いかけがぽかんとそこに浮いた。してないよ。少林寺の意識は本の中から帰ってこない。
波も風もない、がらす板みたいなまったいらな時間を、宍戸は思う存分からだじゅうでむさぼる。からだがぽかんと空洞になったみたいだ。なんかいいね、こういうの。そう。恋愛しないの。しない。しようよ。宍戸うるさい。おれしてるよ。興味ないから。おれあゆむのことちょーすき。しらねー。しらねーと言った少林寺の言葉の調子が、いつもよりちょびっとだけつやつやしていて手触りがいい。おれららっこみたいじゃね?こうやってると。少林寺は宍戸の腕の中でからだをちょっとよじり、辺りを見回して、そうかな、と言った。親子らっこ。ふふふ、とてのひらを重ねた下腹が揺れる。なんだか嬉しくなって宍戸は少林寺のちいさなからだを左右にがくんがくん揺さぶった。あっちょっやめて、きもちわるいから。少林寺のちいさなてのひらが重ねた宍戸の手をぺたぺたとはたく。しばらくふたりでうひゃうひゃしていたら、現実感がすぽんと音を立ててあたまから抜けていった。
それからどちらとも唐突に黙る。なんとなく、ざわっとした手触りの強烈な気恥ずかしさを、ふたりともおそらく同時に感じていた。少林寺が息を詰める、その瞬間宍戸はぐるんとからだをひねって横向きになった。少林寺に足を絡め、抱き枕にしがみつくように。少林寺は息を詰めたまま黙っている。なに。宍戸、どきどきしてる。んーと今度は宍戸が黙った。心臓のちょうど上くらいに、少林寺のあたまがある。どきどきしてるかなぁと自分で考えながら、だけどそう意識した瞬間に尾てい骨の辺りがぞわんとしたからあー正解と思って宍戸はブフッと詰めた息を吹き出した。まるでふたりがただしい、とても清潔でただしいかたちで、恋愛をしているように思えたのだ。唐突にあたまから抜けた現実感が夕立みたいに意識を打った。ざばざばの幸福。
してるよ、と返す代わりに、おれら今水ん中だ、と宍戸は言った。ふたりのための世界は、息もできないくらいにひたひたに押し寄せて雨を降らせている。水槽の微生物みたいな、単細胞のいきもののふたり。少林寺はちょっと考えて、水の底だね、と応えた。がらす板みたいなまったいらな現実が、ふたりの頭上、空のあおさと触れ合う位置でぴったりと水槽を閉ざしている。永遠に触れることのできない水面。ほんとだ。ほんとはそこに雨が降り注いで、いくつものまるい穴をあけて、爆弾みたいに落ちてくる現実が単細胞の二匹のいきものを脅かし続けていたのだけれど。なるほど確かにこれは恋愛だ。破壊がないとどこへもゆかれない。ふたりきりの水槽だ。いずれ水は腐り果てる。
少林寺のてのひらからこぼれ落ちたピンク色の文庫本が、紙でできた鳥のようにぱたぱたとぱさぱさとはばたいている。少林寺がそれに手を伸ばそうとするのを、宍戸が止めた。もうちょっと。呼吸さえためらわれる、その聖なる静寂。腐り果てるのを待つ、果実のようにあまやかな時間たち。少林寺はもがき、宍戸の腕を抜けた。がらす板が割れる。ばりばりと音を立てて。少林寺は本を拾い、なにも言わずに立ち去ってしまう。穴を得た水槽から、あとは、それらは流れ出るばかりだ。ふたりきりの、ふたりのための世界。なるほどこれが恋愛だ。空が波打ち、そこから雨が、雨が雨が雨が、次から次から降り注ぐ。波風の立たない穏やかな毎日は、その中に暮らすひとびとを腐らせていく。眠るようにがらすのように、静かに、ただしく、清潔に。心臓がどくどくと打っている。なくしたなら追うだけで、捕まえたら喰うだけだ。とっくに宍戸は知っている。自分がなにに満たされたいのかを。
屋上はあおい。愛は祈りだという。彼らが幸福をむさぼれば、いずれ水は腐るだろう。世界はふたりのために。世界はふたりのために!雨が雨が雨が、雨が降る。なるほど、これが、恋愛だ。







ただしい水中
宍戸と少林寺。
リクエストありがとうございました!ずいぶん久しぶりにこのだいすきコンビを書いたのに、感覚が戻らなくて宍戸があんまりきもくないです笑
PR
V2とかG4とかなんか仮面ライダーみたいでしたね。
おれが切り売りしてるのは、言うなれば正常で常識的な感覚だ。おれはいっつも自分の両目を隠して世捨て人的なやつを気取って、その実は周りをちゃかして煙に巻いてへらへらへらへら生きてるわけですが、実はおれの両目にはひとには見えないものが見えちゃうわけなんです。だから正常な常識的な感覚をごく当たり前にずばずば切り捨てて、非常識でそこを埋める。おれが切り売りしてるのは正常で常識的な感覚と、たぶん、あとは、疑うこと。おれは単純明快であほで、それはおれが見えるものをいちいち疑ってたら、ほんとにきりがない。からです。
例えば鏡で見るおれはふつーのおれ、ヒョロガリでモジャな宍戸佐吉だけど、たとえばこの目が先輩たちを見ると、中学二年生のサッカー野郎はどこにもいなくてそのかわりに怪物みたいなこえーのがいっぱい見える。つぎはぎだらけの金色の魔神、まっかな魔神、花柄のドラゴン、折れかけたそら色のクレヨン、けたたましく吠えるチワワ、棒人間、どろっとした不定形のなにか、極彩色の影法師、などなど。少林寺をみんなはちっちゃくてかわいいって言うけどおれの目には誰より巨大に見える。あおい四本の腕の巨人。壁山は、なんていうか見えない。そこに壁山っていう人間がいる気配はあるしひとのかたちも手触りもおれはわかるんだけど、おれの目には壁山は空気に希釈されたすげーでかいものに一体化していてうまく捉えられない。音無はピンクのラメラメのはと、栗松はなんでかいっつも顔を覆うように腐りかけたりんごをかぶっている。今ではだいぶそういうものたちと折り合いがつけられるようになったけど、今でも目を見せるのは怖い。おれの目は恐怖をいつでも満タンに詰め込んでいる。そんな怯えた目であのひとたちを見ていると知られると、ちょっとつらい。
おれは空ばっかり見ている。空めがけて口をひらくと、そこから空がこまかい氷みたいに砕かれてしょりんしょりんと降ってくるみたいな感覚がからだを突き抜けて、気持ちいい。なにしてんの、と少林寺が不思議そうにおれを見ている。四本腕の巨大な少林寺。グラウンドでは有象無象が有象無象になって試合をしていた。まるで戦争だ。おおーこわっ、とわざとらしく言うと、少林寺は腑に落ちない顔をしておれから目をそらす。グラウンドのはじっこのほうにきらきらっとなにかがひかって、おれはついそちらを見た。そのきらきらはにょきにょきにょきっとすごいスピードで伸びて、蔓みたいに絡まりあい、見る間に一対の翼に化ける。うはっ。おれは少林寺の肩(とおぼしき場所)をつかんで揺さぶった。おいあゆむ、あそこ、鳥がいる。鳥?少林寺はおれが指差す方を見て、見ながらへーんな顔をした。グラウンドに鳥なんかいないだろ。あーそっかーと手を離すのと同時に、棒人間がひょろひょろとこっちに走ってきた。宍戸こうたーい。半田さんだ。
グラウンドに入るとおれはいけにえにされたみたいな気分になる。こういうとき、常識なんかさっさと切っといてよかったって実感する。おれは脚で、おれの脚でボールを蹴る。だけどそれを受け止めるのは、脚という器官さえないけだものたちだ。があがあ吠えて、ぐるぐる唸る。まったく狂ってる。ふふっとちょっとわらうと、また視界のはしできらきらがはじまる。目金さんがからだをがっちんがっちんに硬直させながら身構えていた。目金さんは、よくわからないけどなんだかメガネサンぽいものとしておれの目には映るのだが、そのメガネサン的いきものの背中の辺りに、苔が密集するようにきらきらがびっしり植わっている。なにげなくそこを払うと、目金さんはびくっとして、なんですかぁ、と情けない声をあげた。あーそっかー見えないのかーと思っておれはニチャニチャわらい、へーたーれー、と言ってやった。目金さんの顔がめっちゃ不機嫌そうになる。
こっちにボールが飛んできたのでざっと踏み出すと、ぶわっとほっぺたを風が撫でた。風よりもっと質量があるものでばちーんとぶたれたみたいに。おれははっとそっちを見る。目金さんの背中に翼が生えていた。きらきらきらきらひかる、金色の、巨大な、かみさまみたいな翼。おれはぽかんと立ち尽くし、ボールを取ったのは目金さんだった。目金さんはドリブルをしながらどんどん空へ駆け上がっていく。もちろん実体の目金さんはグラウンドで速攻ボールを取られてぜえぜえ息を切らしていて、おれは花柄のドラゴンに思うさま体当たりされてうろこがぶつかった部分をざりざりにすりむいた(ような気になる)。おれはからだを起こしながら空を見る。金色の翼がばらばらっとほどけて、目金さんの背中に雨みたいに降り注ぐ。びっくりした。目金さんは目金さんだった。メガネサン的いきものじゃなくて、正真正銘の人間だった。その瞬間。おれの目は金色の洪水で満たされる。どわっと押し寄せてくる光景。みんないる。みんな人間だ。みんなみんな、生きている!
気づいたらおれはだらだらに涙を流していた。洪水が引き、またいつもの光景が戻ってくる。ドラゴンとチワワががあがあぐるぐる吠えまくり、おれの腕をどろっとしたヘドロみたいなやつが引いてグラウンドの外に連れ出した。おれと入れ代わりに、四本腕の巨人がグラウンドへ入る。メガネサンがこっちを見ている。きらきらのひかりの苔を背中に生やして。棒人間が気づかうようにおれを覗きこむ。どしたんだよ。あんたらにはわかんねえから言わね、って言いかけるのをおれはぎりぎりで飲み込み、ちょっとわらう。目金さん、かみさまにでもなるんすかねぇ。はぁ?棒人間は黙る。おれも黙る。黙って空を見上げる。空がしょりんしょりんと降ってくる。からだを突き抜けたのは、たぶん、かなしみをざぶざぶに薄めた得体の知れない喪失感だった。
おれの他のひとたちが見ている景色は天国だった。天国なんだと思った。おれが知らんまになくしたもの。おれも天国に行きたいって思った。だけどそうしたらおれのかみさまってメガネサンだなぁって考えたらちょううけて、ばんばん腕を振ってやったらグラウンドからへんないきものたちがばんばん手を振り返してきた。それを見てたらまぁいっかって思う。だってもう正常さとか常識的な感覚とか捨てちゃったし。ぼーくらーわーみぃんなーいーきているー、し。メガネサンも手だかなんだかをばんばん振っている。翼は今は見えないけど、いずれまたおれはあの景色を見て、また泣くんだろう。きっと。へたれって言ってごめんねって、あとであやまろっ。メガネサンはなんだか嬉しそうに手を振る。きらきらとひかる背中をして、誰よりも楽しそうな、嬉しそうな、かみさまみたいな能天気な笑顔で。







天国で反抗期
宍戸視点の目金。
リクエストありがとうございました!なんか絶対違うものが出来上がってしまいほんとすみません。でも楽しかった!あれだったら別のん書きますので言ってください。
リクエストたくさんありがとうございます!
ただいま5件承っております。びっくりしました!普段あんまり動かないメルフォや拍手が火を噴いている・・・。
今回も素敵なリクエストばっかりでウキウキしています。皆さんわたしのツボをよくご存知でびびる。
まだまだ書かせていただきたいので、なにかありましたらメルフォか拍手でどうぞー。
おめでとうメッセージも一緒に寄せてくださる方もいましてもう感動です涙ドゥワー。
ありがとうございます。ううーやっててよかった!
リクエストはご連絡いただいた順に書かせていただいておりますので、どうぞのんびりお待ちくださいませ。


追記で返信。
ざりざりに噛みちぎられた左手の指の爪に、しろく濁った薄皮みたいなのがまだ残っていて不愉快だ。犬歯でそれをぷつりと噛んで、吐き捨てようとしても舌にまとわりつく。それを力を込めて吐き出そうとしたら、思った以上に力が入りすぎてゴエッとえずいたみたいになった。目金がびくんと顔を上げる。円堂はいら立ちを隠しもしないまま、目金の方から転がってきたボールをつま先ですくい上げ、いちど浮かせてキャッチする。いたたまれないような卑屈な目をしてこちらを見ている目金にボールを投げ返してやると、びくりと両手を差し出してそれを受け取る。いらいらすることばかりだ。円堂は自分のボールをおなじように蹴り上げてひざの上でぽんぽんと弾ませた。目金のほそい目がぎゅうっとほそまり、たぶん意味もなくボールをいちどだけ地面に打ちつけた。たあん、と高い音がつめたい空気を裂いて響く。ああ、とついたおもたいため息が円堂の視界をもやりとかすませた。
目金をサッカー部に誘ったのは自分だということに、円堂は負い目を感じている。部員にも、自分自身にも、そして目金にも。どんなに人数が足りなくても、あんなのを誘うのではなかった。人間には向き不向きがあるわけだが、しかしそれはサッカーしかしてこなかった円堂にはうまく飲み込めない現実だった。あの日、目金は逃げて、円堂は追わなかったし、もう戻ってこなくてもいいと思っていた円堂の気持ちとは裏腹に、目金は戻ってきた。なんにもできないまま。最後のチャンスだったのに、と思う。サッカーを捨てるには、あの逃走が最後のチャンスだったのに。ちっと舌打ちをするとそれにもまた目金はびくびくと怯えるようにする。負い目を感じているのは、円堂だけではないらしい。目金がするそれを、円堂は理解することはできなかったが。
目金は円堂の責任だった。サッカーなんかできなくてもいいと目金は常日頃豪語していたし、目金がそれでいいなら円堂だってかまわないと思っている。できないものに無理強いするほど円堂は熱心ではないし、円堂にとって、サッカーとはそういうものではないのだ。それでもせめてリフティングくらいはできたほうがいいんじゃないかと染岡がまた余計なことを言うので、円堂は練習後の時間を割いて目金につき合っている。二週間、目金は一向に上達しない。いら立ちばかりを募らせる、いやないやな時間だ。目金は卑屈に縮こまるばかりで、円堂はただ黙っている。最初のうちは壁山もいてくれたが、円堂が無理やり帰らせてからはふたりだけの息のつまる時間になってしまった。ごろごろとボールは転げ、それはしかし、誰にも修正さえされない。
目金はうつむいてボールの縫い目あたりをいじっている。円堂くんは。ん?円堂くんは、どうしてずっとサッカーをするんですか。え。目金の問いかけに、円堂は目を見開く。考えたこともなかった。円堂は目金を見る。目金は奥歯を噛みしめるみたいな、妙にかたい顔をして円堂をじっと見つめた。ぼく、サッカーなんかできなくたっていいんです。でも円堂くんは違います。よね。だって。円堂は目をそらす。おれからサッカー取ったらなんにもなくなるだろ。それがわからないんです。目金はうつむき、くるくると両手のあいだでボールを回した。どうしてそんなこと言うんですか。円堂くんには、本当にサッカーの他になにもないんですか。気づかうようなその調子。そんなことありませんよね。その奇妙にべたついた声が、円堂の神経を思うさま逆なでした。
うるせえぇぇぇぇ!!声を限りに叫んだ円堂に、目金がからだをすくませて硬直する。おまえに!円堂は両手であたまを抱え、そのすき間からけだもののような目で目金をねめつけた。おまえになにがわかるんだ!サッカーの他に!大事なものがたくさんあるおまえに!おまえに!!目金は息を飲んで、怯えた目で円堂を見ている。円堂にはなにもなかった。サッカーの他には、なにも。なぜならサッカーの他には、なにも与えられなかったからだ。なにも選ばなかったからだ。目金はサッカーなんかできなくたっていいと言う。円堂はそれが理解できない。サッカーを奪われたら、どこにも行けなくなる。円堂はもう最後のチャンスを逃していた。サッカーを捨てて生きることは、もう円堂の選択肢から失われて、久しかった。最初からそのために生まれてきたように。そのためだけに、責任を負ってきたように。
サッカーがある限り、円堂はどこにもゆけないのだった。目金なんかにそれを言われるのがつらかった。サッカーがある限り、円堂はなにも探しにゆかれないのだ。宇宙をさまよう羊たちの一頭になる資格だって、円堂は持っていないのだ。目金が最初から持っていたそれに、円堂は憧れて憧れて、あこがれていたのに。夢も希望も、未来さえ探しにゆかれない。サッカーでグラウンドに繋ぎ止められたままの探索船。哀れにもがくだけのそれを見下ろしながら、目金はどこまでもどこまでも飛んでいくのだ。宇宙をさまよう孤独な探索船にさえ、憧れなければいけない自分のみにくいことが、円堂はなによりかなしかった。円堂くん。目金がおずおずと手を伸ばし、そっと背中に触れた。泣いてるの?生殖の石を探す奇跡の旅に、傷つくのは果たして誰であるのだろう。答えはいまだ見つからない。どこにもゆけない円堂から、輝くものたちは遠ざかっては消えてゆく。







ペトラゲニタリクスオービター
円堂と目金。
リクエストありがとうございました!最後の一歩が踏み出せないのは、本当は円堂なんじゃないかなーと思いながら書かせていただきました。
[24]  [25]  [26]  [27]  [28]  [29]  [30]  [31]  [32]  [33]  [34
カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
まづ
性別:
非公開
自己紹介:
無印雷門4番と一年生がすき。マイナー愛。

adolf_hitlar!hotmail.com

フリーエリア
アクセス解析

忍者ブログ [PR]